眠れない夜から逃げて

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睡眠がとても苦手だ。寝たい時間に寝られず、起きたい時間に起きられない。

年を取るにつれてどんどん眠り方がわからなくなっている。

眠ろうとすればするほど動悸が早くなり呼吸が浅くなる。

眠れない夜はとにかく長くて苦しい。深い闇へ引きずり込まれそうになる。

風が窓を叩く音、時計の秒針音、外を走る車の音、どんな些細な音にも意識を奪われる。

仕事、家族、友人、現在、過去、未来、

漠然とした不安がありとあらゆる思考の部屋を荒らしては去っていく。内容も時点もめちゃくちゃで、一つの部屋にとどまってくれない。

お腹が張り、胸がドキドキし、足がムズムズする。

心と体が結託して妨害しにきているようだ。

眠っているのか起きているのかわからない不思議で不快な感覚。

あれから何時間が経ったのか。朝まであとどれくらいなのか。

そんなことをぼんやり考えていたら突然目覚ましが鳴る。

カーテンを開けると空が明るい。重たい体を無理やり起こす。

ボーっとした頭で身支度を整える。

顔を洗い、歯を磨く。目の下のクマがまた濃くなった。こんな顔で今日も働くのか…

「苦しい」という感情だけを抱えて家を出る。

今日こそはしっかり寝るんだ。無駄な決意を今日も固める。

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